丹羽隆志の建物デザイン、グリーン建築へのとりくみ

ベトナム・建築家日記

エコ・サスティナブル 建築について

設備エンジニアのポテンシャル

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木曜日の夜、ハノイにオフィスのあるベルギーの設備エンジニアリング事務所Boydensの主催するパーティに行ってきました。

ベルギーから事務所の代表とその友人のオランダの構造エンジニアがハノイへ来るのにあわせて行われたパーティでした。30人ほどが集まった会場は、知っている顔が2割ほど。ほとんどが外国人でベトナムの人は1割程度でした。ちなみに日本からは僕一人。

 

このBoydensというエンジニアリング事務所。省エネデザインを得意としていて、特に熱の制御が得意のよう。地下水から熱を吸い上げて年中一定の気温を保つ、病院や精密機械工場といった常に一定の環境が求められる用途ではお世話になるかもしれません。

パーティは、設備エンジニアのDirk Boydensさんと、NEY partnersからきた構造エンジニアの方が交互にプレゼンテーションをされました。そこで気になった点を少し。

 

1.快適性を決めるファクターのうち、半分近くが輻射熱。

人間の温熱環境を決めるファクターは、空気温度よりも輻射熱の割合が大きいそうです。特にこの蒸し暑いハノイ。太陽に照らされて壁の暖まる家に住んだことのある方ならその不快さはわかると思います。クーラーを入れても、暖まったレンガ壁からくる不快な熱は寝苦しいことこの上ありません。この表、興味深かったので、もし送ってもらえれば共有させていただきたいと思います。

2.設備エンジニアはより上流へ。

パーティへ呼ばれていたのは多くが建築家。Dirkさんが設備エンジニアと仕事をコンセプトデザインが終わってからではなく、コンセプトデザインの段階から始めれば、より成果が大きくなりますとおっしゃっていました。

もちろんそうなれば建築家としては理想的ですが、僕が思う設備エンジニアの可能性というのは、それ以上だと思います。まず設備エンジニアがクライアントを取り、最適な環境アウトプット、エネルギー消費の方法をクライアントと決定して、最適な建築家を選べばよいのではないか、と提案をさせていただきました。

さらにその後、わたしたちのチェコ人スタッフと話をしていて、行政が設備エンジニアをやとえば一番良いのではないか、というアイデアがうまれました。なぜなら、ベトナムでもまた日本でも、クライアントは良いエンジニアを呼ぶお金がない、もしくは使い方がわからない、というのが一般的ではないかと思われるからです。

行政が能力のある設備エンジニアを雇って、プロジェクトについて空調方法やエネルギーの削減方法、地域への影響の少ない設備計画などについて、コンサルティングを一回でもすれば、行政は、インフラの投資を減らすことができるかもしれませんし、地域社会もクライアントも得られるものは大きくなります。景観をまとめる建築アドバイザーを選ぶことは有益なことと思われて久しいですが、これからは設備エンジニアの時代かもしれません。

熱をコントロールするのが得意なこの事務所。でも、代表のDirkさんは、窓を開けるのがすき、ともおっしゃっています。素直な方で好感がもてました。

ハイテクのグリーン建築が多い中で私たちが植物を多用した建物を設計するのは、植物があると涼しくなるし、さらに「涼しく感じる」からです。いくら暑くても木が風にそよいでいるのを見れば、なんとなく涼しくなったように感じます。木が陽をさえぎり輻射熱をおさえ、蒸散効果で下を涼しくし、ゆれる葉が涼しさをあたえ、人は窓を開ける。よくよく考えてみれば昔からある当たり前の関係。一番省エネルギーだった時代に、当たり前だったことでしょうか。もちろんエネルギー問題が逼迫したベトナム。いつ切れるかわからない電気をあてにするのはむずかしいのもあります。

あるサイトで「グリーン建築は人を幸せするか?」という問いがありました。そして、闇雲に省エネルギーを数値的に追いかけた建物はNoといわれていたと記憶しています。もちろん数値でスペックをあげていくことも大事ですが、人が幸せになりながら快適に過ごせる環境を最小のエネルギーで作り出していく。当たり前のことですが、続けていきたいと思います。

 

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