タッチタイピングを学ぶことで、苦手な文章づくりを克服へ

文章の苦手意識とタッチタイピングの関係

できるだけ毎日、30分のテキストをコンピューターで書いている。

物ごころついてからずっと、文章を書くことを苦手にしてきた。小学校時代の自分の読書感想文の悲惨さを今でもひきづっているのだろうと思う。本を読むのが好きだから、なおさら自分の文章の稚拙さが気になってきた。

文章を書くことが大きなコンプレックスだった。

ホテル隔離中に始めたタッチタイピングの練習

あるとき、その苦手意識の理由がただ文章のアウトプットの機会が少ないからではないか、と考えた。

特にパソコンで文章を書くときには、打ち間違いが多く、思考がとぎれとぎれになっていた。だから余計に自分は文章と相性がわるいという自己認識におちいっていた面がある。

コロナ禍、日本からベトナムへ入国する際に2週間のホテル隔離が必要だった。オンラインで仕事をすることが根付いていたので、打ち合わせ等で時間は過ぎていくわけだが、その間に何かひとつスキルを身に着けようと考え、タッチタイピングを基礎からやり直した。

学ぶことで、「B」を両手の指どちらでも打っていたり、小指を使う量が著しく少なかったりという打ち間違いの原因になっていたタイピングの悪い癖を多く矯正できた。

一日30分のライティング・セラピーの効果

この学びをより多くのアウトプットへつなげようと、2か月ほど前から一日30分のタイピング時間を設けることにした。自分の頭の中に現れてくるテキストをそのままテキスト化していく時間だ。エッセイというか、ライティング・セラピーのようなこの時間をもつことで、自分の思考と対話できる、そんな効果もうまれることがわかった。

ただ、文章の質を求め始めると30分で2000字程度しか文章が書けない。そこで30分で3000字の文章を目標にした。これが今の僕にとって適度に緊張感が生まれながら文章を頭の中で吟味する時間がとれない絶妙なターゲットだった。

タッチ・タイピングをある程度身に着けたおかげで、ミスタイプが大きく減り、タイピングしながら思考を持続させていくことが可能になってきた。それでもまだまだミスタイプはあるし、複雑な文章については時間がかかる。文章量を増やすために、固有名詞は単語登録を活用することにして、最終的なアウトプット量をより増やす事に挑戦している。

書いている内容はたわいのないことだ。今悩んでいること、うれしかったこと、時には、何を書いていいかわからない、というようなことも書いている。頭に浮かんだことをそのまま手を動かしてテキスト化しているだけだから30分という時間に、無心で自分の頭の中を書き出していくだけだ。次のステップでは、テーマを決めてそのお題についてじっくり書く、という挑戦もできるだろう。ただ、今はただひたすらアウトプットの量を目標に。とどまらない思考と手から生まれる文章をできるだけリンクさせていくことが目標だ。

実際にこうやって文章を書き始めてみると、読み返しの時間もとても有意義な時間になる。読み返しながら、やってみたいことや気になっていることを別紙にTODOリストとして書き出していく。そうすることで、心の底に眠っていた気持ちが行動につながっていく好循環も感じている。

タッチタイピングは、かつてブラインドタッチと呼ばれていた。このスキルは、Chat GPTなどのAIが対話に対応したとしても、筆記用具による文章の読み書きと同じようにとても大事な基礎スキルなのではないかと思っている。

タッチタイピングを身に着けて、無心に文章を書いてみてほしい。自分と対話することが楽しくて仕方がなくなると思う。