建具職人に学ぶ木材の適材適所

オーク材
ベトナムの建具職人

生産体制は村単位

ハノイ旧市街で住宅の改修工事を行っています。

そのための建具検査に行ってきました。

場所は、ハノイからタンロン高速で西へ20kmほどいった、チャンソン(Chang Son)村。木工が有名なエリアで多くの木加工工場が集まっています。隣のフンサー(Phung Xa)村も鉄工所が集まっているエリアとして有名だそうです。

流通にまだ問題のあるベトナムでは、村単位で生産体制ができています。僕の故郷、石川の漆器や友禅などの伝統工芸が地域で育ってきた理由と一緒です。

木を仕入れてくる人、乾かす人、切る人、加工する人、塗装する人など、一連の作業が村の中で完結しています。だからワークショップには圧倒的にものが少ないように感じます。
写真の職人さんはトアン(Tuan)さん。今回、建具をお願いしている職人さんです。職人の顔はいつみても心地よい渋さを持っています。ものづくりに対する誇り、こだわりが滲み出ています。

家族そろっての木加工一家。お兄さんは装飾の多いベトナム独特のデザインの家具を作っているそうです。一方、彼は装飾の少ないモダンなものが得意。今回は、オークで室内のドア一式を作ってもらっています。

リム材を家具に使わないわけ

検査のあと、お茶を飲みながら定番の情報収集。

木についての質問をぶつけてみました。

建具によく使うリム(Go Lim)材というアイアンウッドがあります。今はベトナムではほとんど取れないそうで、ラオスと南アフリカからの輸入に頼っています。虫と水に強く、ベトナムでは好んで建具に使われます。

しかし、このリム。家具にはほとんど使われません。その理由を聞いてみました。

やはり、彼も家具には使わないとのこと。

その理由は年輪の間隔が大きいのと、色が濃すぎるから。

大きく、ざっくり使うのに向いているようです。

代わりに、家具にはグゥ材を使います。色味は濃茶。ベトナムでよく見かける色です。

長年の経験の中で培われた木材の適材適所です。

  • この記事を書いた人

丹羽隆志

建築家【経歴】東京都立大学&大学院(深尾精一研究室) ▶︎ 岡部憲明アーキテクチャーネットワーク ▶︎ VTNアーキテクツ パートナー ▶︎ 2018年4月にハノイで独立 ▶︎ 2020年サイゴン川歩道橋コンペで優勝 ▶︎ 妻・子ども3人 ● 一級建築士/ベトナム政府公認建築家/日越大学客員研究員 ● 石川県出身